第3回
飲んでも吸収されないサプリも!
サプリの品質はこうして見分けよう

  こんにちは、小島正美です。

  皆さんのなかにも、サプリメント(栄養補助食品)を飲んだことのある方は多いと思います。きょうは、そんなサプリメントの品質の見分け方について、消費者意識が高めの主婦・ママ美さんと一緒に考えていきます。

  ママ美 私もマルチビタミンというサプリを飲んでいます。これです。

  正美  錠剤ですね。どれどれ・・・。ママ美さん、ちょっと脅すようですが、これはあまり品質の良くないサプリかもしれませんよ。

「GMPマーク」は品質の目安になる

 ママ美 え!どうしてそんなことが言えるんですか。

 正美  「GMPマーク」がないからです。GMPは認証機関の審査を受け、パスした商品に付けられるマークです。GMPは「グッド・マニュファクチャリング・プラクティス」の略で「適正製造規範」と呼ばれています。原料の仕入れから最終製品の出荷までの全工程で適正な製造管理と品質管理が行われているものです。

 ママ美 どういう認証機関があるの?

 正美  日本では日本健康・栄養食品協会と日本健康食品規格協会の2機関が認証機関として認められ、合格した製品にマークを付与しています。

もっとも、このマークのついたサプリは多分、全体の1割もなく、とても少ないのが現状です。

 ママ美 そんなマークがあったんですね。だけど、薬みたいなものだから、マークがなくてもきちんと作ってくれているのではないですか。

 正美  ママ美さん、サプリは栄養補助食品です。見かけは錠剤やカプセルの薬みたいでも、製法に薬剤のような厳密な規定はないし、国の販売承認もいらないんです。

 一方、医薬品は、原料の仕入れから製造・出荷までの全工程で、適正な品質管理が義務づけられ、品質が保証されています。つまり、医薬品はGMPに基づき作られています。ただ、国の調査によると、ママ美さんのようにサプリと薬との区別があいまいで、かつサプリの品質を信頼している人は多いです。

国民生活センターの調査で分かったサプリの実態

 ママ美 でも、そもそも、サプリの「品質がわるい」ってどういうことですか。

 正美  一定の時間内に体内で吸収されないサプリがあるということです。有効成分の量が、表示された量より少ないことさえあるんですよ。

 ママ美 え!吸収されないなんて、考えたこともありませんでした。何のために飲んでるんだか。

 正美  国民生活センターが昨年8月、調査結果を公表したんです。
 よく売れているマルチビタミンや黒酢、酵素など市販のサプリメント100銘柄を選んで調べたところ、42銘柄は医薬品に定められた試験方法の規定時間内に溶けなかったんです。http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190801_1.htm

 専門用語で「崩壊試験」と言いますが、医薬品では崩壊試験が義務づけられていますが、健康食品には義務づけがないんです。

 ただ、これを受けて、日本健康・栄養食品協会はサプリメントの崩壊試験を義務づけると加盟企業に通知しました。

ママ美 健康食品は医薬品並みになっていなかったんですね。

正美  消費者1万人にアンケート調査した結果では、7割以上の人がサプリについて、ママ美さんと同じく「厳格に管理され、品質が安定している」と答えていますから、健康食品への過信がみてとれますね。もちろん、そもそも健康食品なので医薬品並みの基準を適用する必要はないとの意見もあります。ただ米国ではサプリはすべてGMPに準拠した製造が法律で義務づけられています。日本は義務づけがないので、せめてGMPマークを選択の目安にしましょうということです。厚生労働省も以前からGMPマークのある製品を選ぼうと提案しています。

ママ美 錠剤やカプセルのような形にとらわれてはいけないってことですね。

無表示よりは「機能性表示食品」の表示ありのサプリが安心

正美 形ではなく、表示を見ることが大事です。ついでに言うと、同じサプリメントでも「機能性表示食品」と表示されたものもあります。これは事業者が科学的根拠を基に自らの責任で消費者庁に届け出て、製品に健康効果を表示できる制度です。国が審査したものではありませんが、根拠となる情報が消費者庁のホームページで公開されており、一定の安心感はあります。無表示よりは、この「機能性表示食品」と書かれたサプリのほうがよいでしょうね。

ママ美 GMPマーク機能性表示食品ということですね。

正美  最終的にはアメリカのように、サプリメントの製造工程管理に厳しい法律が必要でしょうね。

 今回のレッスンは、日本ではサプリメントは医薬品並みの品質管理基準ではつくられていないこと、そして商品を選ぶときはGMPマークか「機能性表示食品」の文字があるかどうかを判断目安にする、この2つを覚えておくことです。