第13回 実は「青汁」に定義はない。買う時は「食物繊維」の多いものを選ぼう

2020年9月30日

こんにちは。小島正美です。きょうは「青汁」を通して、健康を考えるうえで大切な「表示と栄養素の量」を考えてみましょう。

ママ美 やっと暑くなってきて、毎日、体力を使うなあ。そんな時にはやっぱり、コレよね。

正美 ママ美さん、それは「青汁」ですね。

ママ美 はい。健康のため、疲れた時やお風呂上りによく飲んでいるんです。

正美 「青汁」って、何から作られているか、知っていますか?

ママ美 え? そう言われれば、あまり深くは考えたことはないけれど、ケールとか大麦若葉とかかしら。

野菜果汁飲料と変わらない「青汁」も

正美 ケールはキャベツに似たアブラナ科の野菜、大麦若葉は大麦の新芽ですが、いい線いっていますね。
たとえば、飲料大手A社が売り出しているこの青汁。私が実際にスーパーで購入したものです。ほら、原料を見てください。「野菜汁(にんじん、ケール、ほうれん草、大麦若葉、セロリ、パセリ、クレソン、キャベツ、ラディッシュ、三つ葉)、果汁(ぶどう、りんご、レモン)……」となっていますね。

ママ美 ケールや大麦若葉も入っているけど、思っていたより、そのほかのものも、いろいろと入っているんですね。「青汁」というより、普通の野菜果汁飲料のような…。

正美 ママ美さん、まだまだ甘いですよ。この、大手B社の「青汁」の原材料を見てみてください。

ママ美 「野菜(さつまいも、大麦若葉、ほうれん草、メキャベツ(プチヴェール)、ケール、しょうが)、食物繊維、抹茶、緑茶……」。おイモやショウガまで入っているんですね。

正美 ついでにこのC社の「青汁」も見てみましょう。これまでの原材料に加え、「あしたば」や「青シソ」、「ブロッコリー」が入っています。

ママ美 ここまでくると何でもあり、ですね。いったい「青汁」って何なのかが分からなくなってきました。ちょっとでも野菜を使っていて、青っぽかったら「青汁」ということなんでしょうか。

どんな飲料を「青汁」と表示しても違法ではない

正美 実は「青汁」の表示に、定義や基準はないんです。だから、どんな飲料を「青汁」と表示(ネーミング)して売っても、法律違反にはならないんです。青いソーダ水を「青汁」とネーミングして売っても、もちろんOKですよ。

ママ美 そんなバカな!

正美 ホントです。ちょっと昔を振り返ってみると、青汁は1980年代に、ケールを原材料とする飲料として売り出されました。青臭くて、テレビCMで「まずい。もう一杯」とうたわれ、それがかえって話題になって有名になったんです。その後、いろんな飲料メーカーが味がおいしくなるよう、原材料を多様にして工夫し、今日のように「いろんな青汁」が登場するようになったのです。

ママ美 「なんでもあり」になってきたことは分かりましたが、せっかくなら健康の維持に関係のありそうな「青汁」を選びたいなあ。

「食物繊維」の含有量は、製品によって大違い

正美 日本人に足りない栄養素の一つが、食物繊維です。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2015年版)によると、健康維持のためには成人男性なら1日20グラム以上、女性なら18グラム以上の食物繊維を摂取するのが望ましいのですが、日本人の平均摂取量は、その望ましい量より5グラム程度、少ないです。そもそも青汁は食物繊維が豊富というイメージで売っているわけですから、食物繊維がどれくらい含まれているかをしっかりと見て商品を選びましょう

ママ美 製品によって、含まれる量はそんなにちがうのでしょうか。

正美 先ほどあげたA~C社の「青汁」の食物繊維量を見てみると、100グラムあたりで、最も少ないものが約0.3グラム。多いものは約4グラム。なんと10倍以上もの差がありました。

ママ美 そんなに大きな差が。驚いちゃいます。

表示のない製品も。「表示あり」で確認しよう

正美 「青汁」を健康のために飲むなら、少なくとも1本あたり数グラムの食物繊維が含まれるものを選びたいですね。私はちゃんと選んで飲んでいますよ。ただ、いまの食品表示法では食物繊維の含有量の表示は法律で義務づけられていません

ママ美 そうだったのですか。ぜひ、義務づけてほしいです。

正美 いまはメーカーが任意で表示しているわけです。多くの飲料では任意の表示があるので、それを見ることが大事です。食物繊維を摂取することは腸内細菌にとって、とても有益な働きをすることが科学の分野で分かってきました。腸内細菌の構成が悪化すると感染症に弱くなることも分かってきました。そういう意味では食物繊維を毎日適度にちゃんと摂取することは本当に大事なことです。腸内細菌と健康に関する話は回を改めてじっくりとお話ししますね。

ママ美 このブログは有益な情報が得られ、本当に勉強になりますね。

きょうのレッスンは、青汁には定義や基準はなく、どんなものを青汁と呼んでも許されているという現状を知ること、そして、青汁を買うときは原材料の表示欄で栄養素をしっかりと見て、食物繊維やビタミン類の多いものを選ぶようにすることが大事だと覚えておくことです。